オススメの書籍紹介:『新版/企業への影響からみる 収益認識基準 実務対応Q&A』
このブログでは、不定期でオススメの本をご紹介しています。
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今回は『新版/企業への影響からみる 収益認識基準 実務対応Q&A』です
今回は、『新版/企業への影響からみる 収益認識基準 実務対応Q&A』(EY新日本有限責任監査法人 著)という本です。
これ、収益認識に関する本では一番いい本だと思います。実務をやっている人には、という限定付きですけど。
実はもっと前にオススメしたかった
実は、ブログでオススメの書籍をご紹介するとなったときに、真っ先に思い浮かんだのがこの本でした。
何か月か前、まだ収益認識の議論が盛んなころにご紹介できればよかったのですが、そのときには、まだ新版が出てなかったんですよねー(旧版のAmazonの在庫もなかった)。
ずっと「改訂してくれないかなあ」と思っていました。
そんな中、先月(2021年3月)に新版が出ていたみたいなのですが、最近、本屋さんに行かないので、全然気づいていませんでした。こういうのもコロナ禍だなあと思います。
経緯はこれくらいにして、本の内容をご紹介したいと思います。
この本のいいところ
この本、まずQ&A形式で読みやすいです。
特に収益認識会計基準というぐちゃぐちゃの基準がテーマなので、余計な箇所を読まなくて済むのがまず助かります。
また、それぞれのAや解説の記述も平易で、読んでいると、「あー、いい本だな」と思います。
第3章の「実務上の会計論点」には、読みたくなるようなQがいっぱいあります。
本のタイトルに「企業への影響からみる」が含まれているので、実務的に影響のありそうな論点が選ばれてるんでしょうね。
「Q3‐14 CIF条件の輸出取引」とか、「Q3‐23 在庫リスクを負っていない場合の本人代理人の判定」とか、「Q3‐45 金型取引」とか、読みたくなりません?
ちょっと趣味が偏っててすみません。もうちょっと普通の論点もいっぱいあります。
企業の方々にも役立つ「業種別論点」
でも、何よりのオススメが、第4章の「業種別論点」です。
専門家の場合、色んな業種への対応が必要になるので、この章が参考になるのは言うまでもないのですが、企業の方々でも、この部分を読んで頂くと、収益認識会計基準に関する理解が深まる部分が多くあるはずです。
もちろん、「異業種のことを学んでください」という趣旨ではありません。
順番にご説明すると、例えば、「ライセンス契約」とか「ロイヤルティ」といったものについて、収益認識会計基準に書いてある内容は非常に抽象的です。アバンギャルドと言ってもいいかもしれません。でも、それを例えば、「自動車産業における変動対価に関連する取引」として整理してもらって、「イニシャル・フィーやランニング・ロイヤルティの例」で解説してもらうと、もうちょっと理解しやすくなるのではないでしょうか。
つまり、「仮に自動車産業に興味はなくても、自動車産業におけるロイヤルティの捉え方を見てもらえれば、その知識は別の業種でも汎用的に使えますよ」という趣旨です。
単純に他の業種のことを知るのも面白いですし、何より収益認識会計基準に関する理解が深まるので、この本は本当にオススメです。
やっぱり
昨日は無理してKPMGの本を挙げましたが、やっぱりEYさんの本はいいなと思いました。
これが実際の監査となると、また別なのかもしれませんが…じゃなかった、今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。