経営コンサルタント(個人)に支払う報酬に係る源泉徴収(源泉所得税)
今週は、源泉所得税のことを書いています。
普段のお仕事で取り扱っている非居住者等への支払いに関するものじゃなくて、シンプルに国内のお話(居住者への支払い)で、今回は、経営コンサルタント(個人)に支払う報酬に係る源泉徴収について。
Table of Contents
1. 経営コンサルタント
私は「経営コンサルタント」というのがどういう仕事なのかよく分かっていません。なので、源泉所得税のことに限って書きますが、通達では「企業診断員」に含まれるものとされています。
「企業診断員」というのもよくわかりませんが、典型的なのは中小企業診断士です。ただ、それだけじゃなくて、一応は「直接企業の求めに応じ、その企業の状況について調査及び診断を行い、または企業経営の改善及び向上のための指導を行う者」みたいな定義になっています。
通達で挙げられている「企業診断員」の例には、経営コンサルタントのほかに、経営士や労務管理士もあります。
結局のところ、どれもよくわかりませんが、「経営士」って何かカッコいいな。
2. 企業診断員の業務に関する報酬・料金
じゃあ、こういう経営コンサルタント(居住者である個人)に報酬を支払う場合、源泉徴収は必要でしょうか?
答えは… 企業診断員の業務に関する報酬・料金として、所得税(及び復興特別所得税)を源泉徴収する必要があります。
「報酬」という呼び方ではなくて、「コンサルティング・フィー」でも「経営指導料」でも、何でも同じです。
源泉徴収すべき所得税額(及び復興特別所得税)の額は、二段階税率で計算し、支払金額(源泉徴収の対象となる金額)が100万円以下の部分は10.21%、100万円超の部分は20.42%です。
3. 源泉徴収の対象となる「企業診断員の業務に関する報酬・料金」に含まれるもの
この場合の報酬には、旅費や宿泊費などの名目で支払われるものも含まれます(その業務に関するものなので)。
ただし、報酬の支払者が直接、交通機関やホテル等に支払う交通費や宿泊費などで、その金額が通常必要な範囲内のものであれば、源泉徴収の対象に含める必要はありません。
4. 消費税等の取扱い
報酬に係る消費税等の取扱いについては、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象とします。
ただし、請求書において、消費税等が明確に区分されている場合には、本体部分(報酬の額)のみを源泉徴収の対象とすることができます。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。