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佐和周のブログ

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永年勤続表彰者に対する記念品等の支給と給与課税(源泉徴収)

今週も引き続き、給与課税のことを書きます。

給与課税の対象になるかどうか(源泉徴収が必要か)という感じの話で、今回は、永年勤続表彰者に対する記念品等の支給について。

 

1. 現物給与の取扱い

ちょっと前提となるお話から。

通常、給与は金銭で支給されますが、食事の現物支給などのように、物または権利その他の経済的利益をもって支給されることもあります。これらの経済的利益を「現物給与」と呼び、原則として給与所得の収入金額として取り扱います。

一方で、現物給与には、以下のように金銭による給与とは異なる性質があるものが含まれており、また、政策上特別の配慮を要するものもあるため、特定の現物給与については、課税上、特別な取扱いが定められています。

①職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの
②換金性に欠けるもの
③その評価が困難なもの
④受給者側に物品などの選択の余地がないもの

私はこういう話は専門じゃないですが、それでも②換金性や④受給者側の選択可否に関する議論はよく見かけます。

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2. 永年勤続表彰者に対する記念品等の支給と給与課税の有無

今回は、そういう現物給与のうち、永年勤続者に支給する記念品や旅行や観劇への招待費用の取扱いについて考えます。

永年勤続者の表彰にあたって支給する記念品等については、通達に一定の要件が示されていて、以下の要件をすべて満たしていれば、給与課税しなくてもよいこととされています。

(1) その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること
(2) 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること
(3) 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること

ただし、以下の場合には給与として課税される(源泉徴収が必要になる)ので、注意が必要です。

  • 記念品の支給や旅行・観劇への招待費用の負担に代えて、現金や商品券などを支給する場合
  • 本人が自由に記念品を選択できる場合

本人が色々と選択できる場合、金銭を支給して購入するのと同様の効果があるので、給与課税になるイメージだと思います。

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3. 永年勤続表彰者に対する旅行券の支給と給与課税の有無

私はよく知らないですが、未だに永年勤続表彰者に旅行券を支給することがあるようです。

この場合、旅行券には換金性があるので、原則として給与課税されます。

一方で、以下の要件を満たしている場合には、金銭ではなく現物(旅行)を支給したものと考えて、課税を要しないものとして取り扱って差し支えないこととされています(古い個別通達があります)。

旅行の実施について
(1) 旅行の実施は、旅行券の支給後1年以内とする
(2) 旅行の範囲は、支給した旅行券の額からみて相当なもの(海外旅行を含む)とする

旅行実施報告書の提出等について
(1) 旅行券の支給を受けた者が当該旅行券を使用して旅行を実施した場合には、所定の報告書に必要事項を記載し、これに旅行先等を確認できる資料を添付して会社に提出する
(2) 旅行券の支給を受けた者が、旅行券の支給後1年以内に旅行券の全部または一部を使用しなかった場合、その旅行券は会社に返還する

去年だったと思いますが、「新型コロナウイルス感染症の影響により、永年勤続表彰の記念品として支給した旅行券の使用に係る報告期間等を延長した場合の課税上の取扱いについて」という文書回答事例があったので、まだこういう旅行券の支給ってあるんだなあと改めて思った次第です。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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