電子帳簿等保存:会計システムと連携している業務システムのデータの取扱い
引き続き、電子帳簿保存法のうち、電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係のお話です。
今回は、会計システムと連携している業務システムのデータの取扱いについて。
Table of Contents
1. 各種業務システムと会計システムの連携
販売システム等の業務システムと会計システムが連携しているということはよくあると思いますが、国税庁のQ&A(一問一答)には、これに関連するQがあります。
具体的な設定としては、「各種の業務システム(販売等の個別取引データを保存)と会計システム(業務システムの集計データを保存)を連携させている」という状況です。
2. 保存すべき電磁的記録
この状況を前提に、「仕訳帳」及び「総勘定元帳」を電磁的記録により保存等する場合、保存するのは会計システムのデータのみでよいか、というのがQの内容です。
これに対するAとしては、原則として、集計データが保存されている会計システムのデータとともに、個別取引データが保存されている業務システムのデータを合わせて保存する必要があるとされています。
それはそうなんだろうと思います。
3. 業務システムのデータを保存すべき理由
一問一答における回答のロジックとしては、以下のとおりです。
- 会計システムのデータのみを保存することとした場合、業務システムの集計データのみが保存される(販売等の個別取引データは保存されない)ため、保存した仕訳帳及び総勘定元帳のデータは、全ての取引を記載した帳簿とはならない
- これは、法人税法施行規則第54条において、仕訳帳は「全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿」、総勘定元帳は「全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿」と規定されていることに反する
なんか妙に納得してしまいました。
4. 代替案
ちなみに、業務システムのデータを合わせて保存する方法以外では、それに代えて、販売等の個別取引が記載された売上帳(補助簿等)を書面に出力して保存する方法もOKだそうです。
国税庁のQ&A(一問一答)では、その他、過少申告加算税の軽減措置の規定の適用を受けようとする場合の留意事項も示されています。
今日はここまでです。
では、では。
↓電子帳簿保存法に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。第2版の紹介記事はこちら)。
第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。