出張旅費・宿泊費・日当は仕入税額控除の対象になるか(消費税)
「消費税の基礎知識」シリーズということで、いまは「仕入税額控除」をテーマに書いています。
今回は、出張旅費・宿泊費・日当です。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 国内出張に係る出張旅費・宿泊費・日当は仕入税額控除の対象
従業員等の出張に伴って、出張旅費・宿泊費・日当などを支払うことがあります。
消費税の取扱いについては、国内出張と海外出張を分けて考える必要があるので、まずは国内出張の場合からです。
国内出張に係る出張旅費・宿泊費・日当は仕入税額控除の対象になるでしょうか?
答えは…
基本的に仕入税額控除の対象になります。
国内出張等のために、従業員等に対して支給した出張旅費・宿泊費・日当のうち、「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」は、課税仕入れに該当するためです。
出張旅費や宿泊費はわかりやすいですが、日当についても、諸経費の概算払いと考えるということですね。
ただし、「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所得税のほうで非課税とされる旅費の範囲内とされている点に注意が必要です。
2. インボイス制度の導入後
インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入後も、これらの費用については、適格請求書等の保存は不要です。
つまり、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるということです。
この点については、以下の記事をご参照ください。
3. 海外出張に係る出張旅費・宿泊費・日当は仕入税額控除の対象外
じゃあ、海外出張に係る出張旅費・宿泊費・日当はどうでしょうか?
答えは…
基本的に仕入税額控除の対象になりません。
海外出張等のために支給した出張旅費・宿泊費・日当は原則として課税仕入れに該当しないためです(免税または不課税なので)。
ただし、海外出張であっても、国内(空港まで)の旅費や国内空港の施設利用料などは、課税仕入れに該当します。
したがって、海外出張に係る費用のうち、国内分は区分しておく必要があります。
今日はここまでです。
では、では。
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消費税の課否判定、私は以下の本(『消費税 課否判定・軽減税率判定早見表』)を使っています。さらっと確認したいとき、手許に1冊あると便利です。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。