グローバル・ミニマム課税:選択適用の調整項目⑧ 債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。
今回は、選択適用が認められる調整項目の8つ目で、債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例について。
Table of Contents
1. 調整内容要約
まず、さっぱりと調整内容を書くと、以下のとおりです。
調整の概要:一定の債務免除益を個別計算所得等の金額から除外する調整
選択:個社・1年
2. 債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例
この特例は、債務免除を受けた場合の話です。
そして、選択適用が認められる調整の内容としては、「個別計算所得等の金額の計算にあたり、一定の要件を満たす債務免除益を除外する」というものです。
また、上記のとおり、この特例は、個社ごとの1年選択とされています。
3. 特例の趣旨
グローバル・ミニマム課税から離れて考えると、債務免除益については、政策的な目的(財政難に陥っている企業に対する救済等)で免税としている国があります。
一方で、会計上は普通に利益としてカウントされます。
つまり、債務免除益については、会計と税務で取扱いが異なるケースがあるということで、これをそのままにしておくと、(国別)実効税率の分母子がズレることになります。
なので、これを解消するために、個別計算所得等の金額の計算にあたり、一定の要件を満たす債務免除益を除外する選択が可能になっているということです。
イメージとしては、分母を分子に合わせる感じだと思います。
4. 調整の対象
上記では、単純に「債務免除益」と呼びましたが、実際には、「構成会社等の債務がその債務の免除その他の事由により消滅したことにより生じた利益の額」を問題にしています。
そして、この場合の「債務がその債務の免除その他の事由により消滅したこと」には、デット・エクイティ・スワップも含まれることが通達で明らかにされています(法基通18―1―60)。
あと、債権者について、「当該構成会社等との間に特殊の関係にある者を除く」的な文言が入っているので、グループ内の債務免除のケース(で免税になる場合)は注意が必要かもしれませんね。
今回はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。