司法書士や司法書士法人に支払う報酬に係る源泉徴収の要否(源泉所得税)
今週は、源泉所得税のことを書いています。
普段のお仕事で取り扱っている非居住者等への支払いに関するものじゃなくて、シンプルに国内のお話(居住者への支払い)で、今回は、司法書士(個人)や司法書士法人に支払う報酬に係る源泉徴収について。
Table of Contents
1. 司法書士(個人)に支払う報酬
司法書士(居住者である個人)に報酬を支払う場合、源泉徴収は必要でしょうか?
答えは… 所得税(及び復興特別所得税)を源泉徴収する必要があります。
源泉徴収すべき所得税額(及び復興特別所得税)の額の計算については、弁護士への報酬の場合(こちら)とは異なり、二段階税率ではありません。しかも、謎に1万円だけ差し引くことができます。何で?
具体的には、源泉徴収すべき所得税(及び復興特別所得税)の額は、同一人に対し、1回に支払われる金額から10,000円を差し引いた残額に10.21パーセントの税率を乗じて算出することとされています。
例えば、1件の委託契約で50,000円を支払う場合、源泉徴収すべき金額は4,084円(=(5万円-1万円)× 10.21%)です。
(1) 源泉徴収の対象となる「報酬」に含まれるもの
この場合の報酬には、旅費や宿泊費などの名目で支払われるものも含まれます(その業務に関するものなので)。
ただし、報酬の支払者が直接、交通機関やホテル等に支払う交通費や宿泊費などで、その金額が通常必要な範囲内のものであれば、源泉徴収の対象に含める必要はありません。
また、司法書士への支払いであっても、本来報酬の支払者が納付すべきものとされる登録免許税等であれば、源泉徴収の必要はありません。
(2) 消費税等の取扱い
報酬に係る消費税等の取扱いについては、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象とします。
ただし、請求書において、消費税等が明確に区分されている場合には、本体部分(報酬の額)のみを源泉徴収の対象とすることができます。
消費税等はだいたい区分されているので、基本は本体部分だけが対象ですね。
2. 司法書士法人に支払う報酬
所得税法第204条による源泉徴収が必要になるのは、個人への支払いの場合です。
逆にいうと、法人への支払いには適用されないので、司法書士法人に支払う報酬については、源泉徴収は不要です。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。