「繰延収益」と「前受収益」の違い(会計英語のおまけ)
今日は、以下の書籍から、会計に関する英単語を抜き出していますが、前回、前受収益(unearned revenue)のことを書いたときに、ついでに繰延収益の訳(deferred revenue)も挙げました。
『英和・和英 海外取引で使える会計・税務用語辞典』(佐和 周 著)(Amazon)
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繰延収益と前受収益の違いは?
そこで質問ですが、繰延収益と前受収益って、何か違いがあるのでしょうか?
結論からいうと、普通に仕事で使う分には特に違いはないと思います。
前受収益とは
日本では、企業会計原則(注解)とかで、「前受収益」という表現を使っています。
「前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう」みたいに、暗唱できる人がいるんじゃないでしょうか。
要は継続取引で対価を「前受け」している状況ですね。
繰延収益とは
一方で、「繰延収益」のほうは、あんまり日本では使わない表現かもしれません。
ただ、状況としては、対価を受け取ったけど、それを収益認識しないで、「繰延べ」している状況です。
なので、海外とやり取りしていると、deferred revenue [income](繰延収益)は、前受収益と同じような意味で使っているように思います。
あと、契約負債(contract liability)も同じような感じですね。
もう同じでいいんじゃないか
長々書いたのですが、結論としては、繰延収益は前受収益とほぼ同じものです。
ニュアンスとして、前受収益のほうは、unearnedなので、対価を受け取っているけど、まだ収益じゃない(revenue that has not been earned)という状況です。一方で、繰延収益のほうは、deferredなので、そういう状況だから、それを繰り延べている(revenue that has been deferred)というニュアンスでしょうか。
もちろん、繰延収益は、日本でいう前受金の一部を含む概念だったり、細かな違いはあるかもしれませんが、そういうことは学者さんに聞いてください。あとは、「これは前受金じゃないから、前受収益に振替えてください!」などと主張できる、元気な会計士さんでもいいと思います。
普通の人は普通に同じものとして使って大丈夫ということで。
今回はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。