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グローバル・ミニマム課税

グローバル・ミニマム課税:選択適用の調整項目⑨ 資産等の時価評価課税が行われた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。

今回は、選択適用が認められる調整項目の9つ目で、資産等の時価評価課税が行われた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例について。

 

1. 調整内容要約

まず、さっぱりと調整内容を書くと、以下のとおりです。

調整の対象:税務上認識する資産・負債の時価評価損益
調整の概要:一定の税務上の時価評価損益を個別計算所得等の金額に含める調整
選択:個社・1年
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2. 資産等の時価評価課税が行われた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例

この特例は、税務上、資産(または負債)が時価評価(課税)された場合の話です。

そして、選択適用が認められる調整は、以下のいずれかです。

①時価評価の基因となる事実が生じた対象会計年度の個別計算所得等の金額の計算において、評価利益額を加算し、評価損失額を減算する
②時価評価の基因となる事実が生じた対象会計年度以後の5対象会計年度における個別計算所得等の金額の計算において、分割評価利益額(評価利益額÷5)を加算し、分割評価損失額(評価損失額÷5)を減算する

ついでに言うと、この特例の適用を受けた場合、それ以後の各対象会計年度の税引後当期純損益金額の計算上、適用を受けた資産(または負債)の帳簿価額は、時価評価後の金額とみなします。

また、上記のとおり、この特例は、個社ごとの1年選択とされています。

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3. 特例の趣旨

日本のグループ通算制度における通算グループへの加入時をイメージしていただくといいと思いますが、一定の場合に資産の時価評価が行うこととしている国があります。

このケースで、会計上は資産の時価評価が行われない場合、(国別)実効税率の分母子がズレることになります。

なので、これを解消するために、個別計算所得等の金額の計算にあたり、一定の時価評価損益を反映する選択が可能になっているということです。

イメージとしては、分母を分子に合わせる感じだと思います。

今回はここまでです。

では、では。

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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