グローバル・ミニマム課税:当期純損益金額に対する調整⑩ グループ内金融取決めに係る費用

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。
今回は、(特例適用前)個別計算所得等の金額の計算という文脈で、当期純損益金額に対する調整の最後として、グループ内金融取決めに係る費用に関する調整について。
1. 調整内容要約
まず、さっぱりと調整(加算)内容を書くと、以下のとおりです。
-(該当なし)
2. グループ内金融取決めに係る費用に関する調整
グループ内金融取決めに係る費用に関する調整は、端的には、低税率国の構成会社等が、高税率国の他の構成会社等(資金供与会社等)に対して利子を支払うことにより、個別計算所得等の金額を圧縮するという租税回避っぽい行為を防止することを目的としています。
具体的な調整内容としては、構成会社等が資金供与会社等から直接または間接に受けた資金の供与に係る費用の額が当期純損益金額に係る費用の額に含まれる場合、一定の要件を満たすときは、その費用の額を当期純損益金額に対して加算します。
端的には、個別計算所得等の金額を圧縮させないということです。
具体的な要件は、貸付側と借入側の両方について定められており、だいたい以下のような感じです。
(1) その所在地国に係る当期国別国際課税額がないこと(または資金の供与に係る収益または費用がなかったとしたならば所在地国の当期国別国際課税額がないことになること)
(2) 資金の供与に係る契約期間において、その資金の供与に係る収益の額が課税所得の金額に含まれないことが見込まれること
●借入側
(1) その所在地国の当期国別国際課税額があること(または資金の供与に係る収益または費用がなかったとしたならば所在地国の当期国別国際課税額があることになること)
(2) 資金の供与に係る契約期間において、その資金の供与に係る費用の額が当期純損益金額の計算に含まれることが見込まれること
まとめると、焦点は借入側の構成会社等にあり、「借入側の個別計算所得等の金額を圧縮する一方、貸付側の課税所得を増加させないような利払い(で当期国別国際課税額に影響が及ぶもの)」について、この調整が必要になるというイメージです。
今回はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。