グローバル・ミニマム課税:当期純損益金額に対する調整⑦ 過年度の誤びゅうの訂正及び会計処理の基準の変更

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。
今回は、(特例適用前)個別計算所得等の金額の計算という文脈で、当期純損益金額に対する調整の7つ目、過年度の誤びゅうの訂正及び会計処理の基準の変更に関する調整について。
Table of Contents
1. 調整内容要約
まず、さっぱりと調整(加減算)内容を書くと、以下のとおりです。
-過年度の誤びゅうの訂正や会計処理の基準の変更による期首純資産の減少額
2. 過年度の誤びゅうの訂正及び会計処理の基準の変更の位置付け
会計上、過年度の誤びゅうの訂正や会計方針の変更の遡及適用により、期首の純資産が増減する場合があります。
日本でいえば、「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」のお話です。
ちなみに、いまは連結パッケージの利益剰余金の期首残高が謎に前期末残高と合わないとか、そういうお話はしていません(時期的になぜかムキになってしまう)。
3. 再計算国別国際最低課税額の計算対象か否か
このように過年度の誤びゅうの訂正や会計処理の基準の変更があった場合、まずは再計算国別国際最低課税額の計算対象になるかどうかを判断します。
端的には、その訂正や変更により、過年度の対象租税(または繰延税金負債)の額が動くかどうか、という判断ですが、これについてはまた別の機会に書きます。
再計算国別国際最低課税額の計算対象となる場合、下記の当期純損益金額に対する調整は行いません。
4. 過年度の誤びゅうの訂正及び会計処理の基準の変更に関する調整
一方、再計算国別国際最低課税額の計算対象とならない場合、誤びゅうの訂正や会計処理の基準の変更による期首純資産の増減額を(その対象会計年度の)当期純損益金額に対して加減算します。
つまり、会計上は期首純資産を増減させますが、グローバル・ミニマム課税では当期純損益金額を増減させるイメージです。
もちろん、これは「もともとの過去対象会計年度の個別計算所得等の金額」と「修正後の当期純損益金額を基礎として計算したとしたならば算出されることとなるその年度の個別計算所得等の金額」が異なることが前提です。
今回はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。