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グローバル・ミニマム課税

グローバル・ミニマム課税:「特例適用前個別計算所得等の金額」計算のための調整項目

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。

今回は、個別計算所得等の金額の計算という文脈で、特例適用前個別計算所得等の金額の計算のための調整項目について。

 

1. 「当期純損益金額→特例適用前個別計算所得等の金額」の調整項目

前回確認したとおり、当期純損益金額から個別計算所得等の金額を計算するための調整については、一般的な(=多くの国に存在する)会計上の利益と税務上の課税所得の差異を調整するものが多いですが、調整内容を無理やり分類すると、以下のとおりです。

(1) 原則的な調整項目
(2) 選択適用が認められる調整項目
(3) 特定の業種に適用される調整項目
(4) ややこしくてあまり触れたくない調整項目

このうち、上記(1)の調整結果が「特例適用前個別計算所得等の金額」なので、まずは当期純損益金額からそこまでの調整項目(原則的な調整項目)を見ていきます。

2. 原則的な調整項目

具体的には、上記(1)の原則的な調整項目としては、以下があります。

1. 税金費用純額
2. 除外配当
3. 除外資本損益(時価評価損益・持分法損益・譲渡損益)
4. 有形固定資産の再評価損益
5. 非対称外国為替差損益
6. 政策上の否認費用
7. 過去の誤謬の訂正及び会計処理の基準の変更
8. 発生年金費用(収益)
9. 適格給付付き税額控除など
10. グループ内金融取決めに係る費用

当期純損益金額自体も、そこそこの調整をして計算するものですが、そこへさらに上記10項目の調整(加算または減算)を行うことでやっと「特例適用前個別計算所得等の金額」が計算できるという位置付けです。

また、それに対して、上記(2)の選択適用が認められる調整項目以下の調整を行って、最終的に「個別計算所得等の金額」に到達するという流れになります。

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3. 敬意を表します

こういう情報を海外子会社から集めて、ほとんど「該当なし」で返ってくることに虚しさを覚えつつも、「コンプライアンス対応だから」ということで頑張っておられる皆さんに敬意を表します。

そして、実際には「該当あり」なのに、よくわからない(めんどくさい)から「該当なし」と回答している海外子会社がないことを祈っています。

色々大変だと思うのですが、「グローバル・ミニマム課税による納税額より、コンプライアンス・コストのほうが高くついてるんじゃないか」とは決して考えないようにしてください。

ということで、次回の「1. 税金費用純額」から始めて、順番に10項目見ていこうと思います。

今回はここまでです。

では、では。

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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