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グローバル・ミニマム課税

グローバル・ミニマム課税:「当期純損益金額→個別計算所得等の金額」の調整の全体像

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。

今回は、当期純損益金額から個別計算所得等の金額を計算するための調整項目の全体像について。

 

1. 「当期純損益金額→個別計算所得等の金額」の調整項目

ここまで、当期純損益金額の計算について見てきましたが、ここからは当期純損益に対する調整のお話です。

要は、当期純損益金額から「個別計算所得等の金額」を計算するための加減算ということですが、これは端的には、会計と税務の差異の調整というイメージです。もう少しいうと、一時差異は税効果を加味することで調整されるので、基本的に一時差異以外の差異(いわゆる「永久差異」)に着目する感じです。

2. 調整の必要性

調整の必要性は、(国別)実効税率の分母子の対応という観点で説明できます。

だいぶ前に書いたとおり(こちら)、各構成会社等の個別計算所得等の金額は国別に合計されて、実効税率の分母になります(「所得」なので)。で、その基礎となる当期純損益金額は、あくまでも会計数値がベースです。

一方で、実効税率の分子となる「税額」は税務ベースなので(税効果は見ますが)、分母子が永久差異っぽい要因でズレると、実効税率が変になってしまうという感じです。

めっちゃ適当な説明ですけど。

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3. 調整項目

上記のような趣旨なので、具体的な調整項目としては、一般的な(=多くの国に存在する)会計上の利益と税務上の課税所得の差異を調整するものが多いですが、実際にはもうちょっとややこしい項目もあります。

無理やり分類すると、以下のとおりです。

(1) 原則的な調整項目
(2) 選択適用が認められる調整項目
(3) 特定の業種に適用される調整項目
(4) ややこしくてあまり触れたくない調整項目

ちなみに、当期純損益金額に対して、上記(1)の調整を行った結果が「特例適用前個別計算所得等の金額」です。

当期純損益金額から個別計算所得等の金額には近づいたものの、また「特例適用前」なので、(2)以下の調整も必要ということですね。

なので、流れとしては「当期純損益金額→特例適用前個別計算所得等の金額→個別計算所得等の金額」という2段階の計算になります。

4. 今後の予定

このブログでは、(1)原則的な調整項目と(2)選択適用が認められる調整項目のみ取り扱おうと思います。理由としては、(3)は自分のお仕事に関係なくて、(4)は単純にややこしくて書きたくないからです。

今回はここまでです。

では、では。

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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