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源泉所得税

職務発明に対する報償金に係る所得税法上の取扱い(源泉徴収)

今週は、給与課税(源泉所得税)のことを書いていますが、今回は、給与課税以外も含みます。

具体的には、職務発明に対する報償金に係る所得税法上の取扱いのお話です。

 

1. 職務発明に対する報償金のパターンと所得税法上の取扱い

業務上有益な発明・考案等をした使用人等に対して会社が支給する報償金などを支給する場合があります。

いわゆる職務発明に対する報償金です。

報償金の支給には、いくつかのパターン(例えば、以下)があり、それぞれに課税上の取扱いが定められています。

(1) 発明等に係る特許を受ける権利や特許権の承継に対して支給する場合
(2) 職務発明による特許を受ける権利を使用者が原始取得したことに対して支給する場合
(3) 使用人等が取得した特許権等について権利を設定したことにより支給する場合

ここからは、それぞれの内容を見ていきたいと思います。

(1) 発明等に係る特許を受ける権利や特許権の承継に対して支給する場合

前提として、使用人等が行った職務発明に関して、特許を受ける権利は、一義的には発明者(使用人等)に帰属します。

会社がその権利を承継し、それにより発明者に対して支給する報償金については、発明者の側では、以下のように取り扱われます。

➀ 権利の承継に際し一時に支給されるものは譲渡所得
➁ 権利を承継した後において支給されるものは雑所得

➀は、権利の承継が譲渡になるイメージだと思います。

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(2) 職務発明による特許を受ける権利を使用者が原始取得したことに対して支給する場合

(1)とは異なり、職務発明に関しては、特許を受ける権利を発生時から会社(使用者)に帰属させることも可能です。

具体的には、そのための制度として、特許法上の「使用者原始帰属制度」というものがあり、これは、契約や勤務規則などに基づき、あらかじめ会社に職務発明に係る特許を受ける権利を取得させる制度です。

この制度による場合、特許を受ける権利は当初から会社に帰属するため、権利の承継の場合とは異なり、「譲渡」という概念がありません。

一方で、この制度に基づき、会社が特許を受ける権利を取得したときは、発明者(使用人等)は会社から相当の利益を受ける権利を有することとされています。

この相当の利益を受ける権利に基づいて支給されるものは、使用人等にとって「雑所得」となり、源泉徴収の必要はありません。

あくまでも発明者としての地位に基づくものであり、雇用契約等に基づくものではない、という整理なんでしょうか。

(3) 使用人等が取得した特許権等について権利を設定したことにより支給する場合

最後に、発明者(使用人等)が取得した特許権などについて、実施権(通常実施権または専用実施権)を設定したことにより支給されるものは、雑所得となります。

これは特許権等の使用料という位置付けなので、源泉徴収の対象となる報酬・料金に該当し、支給時には10.21パーセント(1回に支払う金額が100万円を超える場合には、超える部分については20.42パーセント)の源泉徴収が必要になります(詳細はこちら)。

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2. 特許等を受けるまでには至らない発明や工夫に対して支給する場合

上記とは少し異なりますが、国税庁のウェブサイトでは、以下のように「特許等を受けるまでには至らない発明や工夫に対して支給する場合」の取扱いも示されているので、ついでに書いておきます。

具体的には、社内提案制度等において、事務や作業の合理化、製品の品質の改善や経費の節約等に寄与する工夫、考案等をした人に対して報償金などが支給される場合には、以下のように取り扱われます。

(1) 通常の職務の範囲内である場合 ➡ 給与所得
(2) 通常の職務の範囲外である場合
➀一時に支給されるもの ➡ 一時所得
➁工夫・考案等の実施後の成績等に応じ継続的に支給されるもの ➡ 雑所得

こういうの、急に電話で聞かれたりするのですが、どうにも即答ができません。やっぱり興味がないものは、なかなか覚えられないんだと思います。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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