個人に支払う特許権や商標権の使用料に係る源泉徴収(源泉所得税)
今週は、源泉所得税のことを書いています。
普段のお仕事で取り扱っている非居住者等への支払いに関するものじゃなくて、シンプルに国内のお話(居住者への支払い)で、今回は、特許権や商標権の使用料に係る源泉徴収について。
1. 工業所有権等の使用料に源泉徴収は必要
個人(居住者)に特許権や商標権の使用料を支払う場合、源泉徴収は必要でしょうか?
答えは… 工業所有権等の使用料として、所得税(及び復興特別所得税)を源泉徴収する必要があります(下で書くとおり、特許権や商標権の使用料は工業所有権等の使用料に含まれます)。
源泉徴収すべき所得税額(及び復興特別所得税)の額は、二段階税率で計算し、支払金額(源泉徴収の対象となる金額)が100万円以下の部分は10.21%、100万円超の部分は20.42%です。
なお、消費税等の取扱いについては、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象としますが、請求書等において、消費税等が明確に区分されている場合には、本体部分のみを源泉徴収の対象とすることができます。
2. 源泉徴収の対象となる「工業所有権等の使用料」に含まれるもの
上記の「工業所有権等の使用料」は、工業所有権、技術に関する権利、特別の技術による生産方式またはこれらに準ずるものの使用料とされていますが、具体的には、以下の使用料が含まれます。
(1) 特許権・実用新案権・意匠権・商標権の工業所有権及びその実施権等
(2) これらの権利の目的にはなっていないが、生産その他業務に関し繰り返し使用し得るまでに形成された創作、すなわち、特別の原料、処方、機械、器具、工程によるなど独自の考案または方法を用いた生産についての方式、これに準ずる秘けつ、秘伝その他特別に技術的価値を有する知識及び意匠等
(2) これらの権利の目的にはなっていないが、生産その他業務に関し繰り返し使用し得るまでに形成された創作、すなわち、特別の原料、処方、機械、器具、工程によるなど独自の考案または方法を用いた生産についての方式、これに準ずる秘けつ、秘伝その他特別に技術的価値を有する知識及び意匠等
また、上記(2)には、以下の使用料が含まれます。
- ノウハウ
- 機械、設備等の設計及び図面等に化体された生産方式やデザイン
使用料の範囲は、非居住者等への支払いについて散々嫌な思いをして、あまり触れたくないので、これ以上何も言いません。
今日はここまでです。
では、では。
この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。