グローバル・ミニマム課税:選択適用の調整項目⑦ 除外配当に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。
今回は、選択適用が認められる調整項目の7つ目で、一定の利益の配当(除外配当)に係る個別計算所得等の金額の計算の特例について。
Table of Contents
1. 調整内容要約
まず、さっぱりと調整内容を書くと、以下のとおりです。
調整の概要:原則では除外される上記収益を個別計算所得等の金額に含める調整
選択:個社・5年
これは除外配当の話なので、前提となる情報については、こちらをご参照ください。
2. 一定の利益の配当(除外配当)に係る個別計算所得等の金額の計算の特例
除外配当とは、端的には、短期保有ポートフォリオ株式「以外」の所有持分に係る利益の配当をいい、原則として当期純損益金額から減算する調整を行います。
これを前提に、選択適用が認められる調整の内容としては、「個別計算所得等の金額の計算にあたり、ポートフォリオ株式のうち1年以上所有要件を満たすものについても、除外配当として取り扱わない(=個別計算所得等の金額に含める)」というものです。
整理すると、除外配当の対象、つまり、短期保有ポートフォリオ株式「以外」の所有持分は、(1)非ポートフォリオ要件(10%以上)か(2)1年以上所有要件のいずれかを満たすものです。
そして、この特例を選択適用する場合、このうち「(2)1年以上所有要件だけを満たす配当」、言い換えると、「長期保有のポートフォリオ株式からの配当」を除外配当として取り扱わないという処理になります。
なんか書いてるうちによくわからなくなってきましたが、まあそんな感じです。
また、上記のとおり、この特例は、個社ごとの5年選択とされています。
3. 特例の趣旨
特例の趣旨は、ポートフォリオ株式については、1年以上所有要件の判断がめんどくさい、ということに尽きると思います(非ポートフォリオ株式ならまだしも)。
だから、ポートフォリオ株式に係る配当は、一律除外配当として取り扱わない(=個別計算所得等の金額に含める)と楽ってことですね。
グローバル・ミニマム課税の対応自体が無くなると、もっと楽なんですけど。
今回はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。