1. HOME
  2. ブログ
  3. 国際税務
  4. グローバル・ミニマム課税
  5. グローバル・ミニマム課税:当期純損益金額に対する調整④ 有形固定資産の再評価損益
BLOG

佐和周のブログ

グローバル・ミニマム課税

グローバル・ミニマム課税:当期純損益金額に対する調整④ 有形固定資産の再評価損益

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。

今回は、(特例適用前)個別計算所得等の金額の計算という文脈で、当期純損益金額に対する調整の4つ目、有形固定資産の再評価損益に関する調整について。

 

1. 調整内容要約

まず、さっぱりと調整(加減算)内容を書くと、以下のとおりです。

+有形固定資産の再評価によりOCIに反映される利益の額
-有形固定資産の再評価によりOCIに反映される損失の額

この場合の当期純損益金額に対する調整は「除外」じゃなくて「反映」なので、OCI(その他の包括利益)に計上された評価益は加算、評価損は減算します(逆ではないです)。

スポンサーリンク

 

2. 再評価損益とは

日本基準では馴染みがないですが、IFRSでは有形固定資産の評価モデルとして(「原価モデル」の他に)「再評価モデル」があります。

再評価モデルは、有形固定資産について、再評価時点の公正価値(からその後の減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額)を帳簿価額とする方法であり、評価差額がプラスの場合はOCIとして計上します(マイナスの場合は基本的に純損益)。また、いったんOCIとして計上したものを、事後的に純損益にリサイクリングすることはNGとされています。

グローバル・ミニマム課税で一般に「再評価損益」と呼ばれているものは、有形固定資産の再評価により計上される評価損益で、OCIとして計上される金額であり、また、リサイクリングされる分は除かれるので、上記の再評価モデルでいう評価差額のイメージだと思います。

3. 再評価損益に関する調整

この再評価損益に関する調整ですが、上記のとおり、調整の対象は有形固定資産です。

で、その有形固定資産を公正価値により再評価した際のプラスの評価差額(評価益)について、OCIに計上されて事後的にリサイクリングされないのであれば、当期純損益金額に対して加算します。

ちなみに、この場合に加算するのは税引前(対象租税額の控除前)の金額です。ついでに言うと、OCIに計上されている対象租税額は、別途調整後対象租税の金額に含める調整を行います。

逆に評価差額がマイナスの場合の減算調整の規定もあります。

実際にこんな再評価損益に関する調整を入れる機会があるのかどうか、私にはわからないですけど、一応そういう規定はあるってことで。

今回はここまでです。

では、では。

グローバル・ミニマム課税に関するオススメの書籍こちら

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

関連記事

佐和周のブログ|記事一覧
スポンサーリンク