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第199回 埋没原価はCFがあっても無視すべき

第199回は、投資案件のCF見積りの関係で、前回の機会費用の話に続き、埋没原価の話をします。埋没原価を無視するのは、心情的に容易ではないですが、そこはさっぱり割り切っていきます。

お父さん:公認会計士。実際は、このイラストよりも、だいぶおじさん(本物はこちら)。

こども君:小学6年生。体育と休み時間を過ごすために小学校に通い、阪神タイガースをこよなく愛する普通の男の子。好奇心が強く、数字を扱うのは得意。ただ、ペラペラ喋って、人の話を黙って聞くのは苦手。スポーツ大好き、RPG大好き、三国志やキングダムも大好き。

前回は機会費用の話をしたよね。

 

うん。難しかった。

そうだね。頭の体操みたいなものだったけど、ポイントとしては、投資意思決定をするときは、実際のCFだけ見てても足りないってこと。土地を持っている場合、工場を建てるときに土地の取得に係るCFはゼロだけど…

 

賃料収入とかをあきらめてた。だから、そういうのがコストになる。

うん。そのイメージでいいよ。複数の選択肢がある場合、1つの選択肢を採用すると、他の選択肢から得られるCFはあきらめることになる。だから、そのあきらめるCFの最大額を考えるってことだね。じゃないと、採用しようとしている選択肢の損得がわからないから。

 

そうだね。

じゃあ、機会費用の話はここまでにして、また別の話をしよう。

 

いいよ。

今、ある会社が新しい製品を作るために工場を作ろうとしている。初期投資額は1,000で、そのうちもう800くらいお金を払っている。

 

うん、うん。面白そうだね。

(笑) だから、あと200の追加投資で工場が完成する状況ってこと。仮にこの状況で、「あ、やっぱりこの工場で作る予定の製品はあんまり売れないや」というのが分かったとする。このときってどう判断する?

 

え? もう投資するのをやめるんじゃない?

どうして?

 

だって、そのまま投資して工場が完成しても、利益が出ないんだったら、意味ないじゃん。

そうだね。でも、もう800投資してるんだよ。もったいなくない?

 

うーん。そりゃあそうだけど。

ちゃんと数字を見積もってみないと、結論はすぐには出ない。ただ、いずれにせよ、投資した800は無いものとして扱うべき。無視するってこと。こういう800みたいなコストを「埋没原価」とか「埋没費用」と呼ぶ。

 

ふーん。

じゃあ、ちょっと整理するけど、損得を考えるときに、まずやるべきことは何? 損得を考えるのは、IRRとかNPVを使うよね? ハードル・レートがあるんだから。

 

それは、そうだよ。

IRRとかNPVの計算には、何が必要?

 

ああ、初期投資額とか。

そうだね。それだけじゃなくて、CFをすべて見積もらないといけないよね。この前は初期投資額とか将来のCFとか表が与えられたけど、実際には自分でそれを見積もらないといけない。で、この場合の選択肢は?

 

そのまま工場を建てちゃうか、工場を壊すか。

(笑) 必ずしも壊さなくてもいいけど、単純化するなら、選択肢は2つだよね。200の追加投資をして、予定通り工場を稼働させるか、追加投資をせずに工場を処分するか。

 

そうだね。

そのそれぞれのCFを見積もればいいよね。じゃあ、追加投資をする場合のNPVを考える。この場合、投資額はいくらで考える?

 

1,000じゃないの?

それで工場を建てるかどうかの判断ができる? 800はもう支出済みだよ。これは、工場を建てても建てなくても…

 

変わらない! だから、投資額は200だ。

そう、そう。800は実際のキャッシュ・アウトフローがあったはず。でも、もう支出済みで、「これから」の意思決定には影響しない。だから、「埋没原価」として無視する。1,000の投資は回収できないかもしれないけど、200の投資でNPVがプラスなら、投資すればいいよね?

 

そう考えるのか。

そうだね。新しい投資案件、つまり、初期投資額200の投資案件と考えたらいいよ。昔かけたコストは関係ない。この考え方は、普段の生活でもすごく大事。「ここまで頑張ってきたんだから」という発想はよくない。考えるのは、あくまでも「これから」のことだけ。それが意思決定のコツ。

 

そうだね。800がもったいないからって、工場を建てて、さらに赤字が出たら最悪だもんね。

そのとおり。例えば、ゲームを買って、それが面白くなかったとする。その場合、ゲームの購入支出はもう埋没原価になってる。だから…

 

面白くなければ、やめちゃえばいい。別のゲームを買う!

効率性という意味では正しいけど、人としては正しくないね(笑) 「せっかく買ったのに」という発想が不要なのは正しい。お金を失ったうえに、クソゲーで時間まで浪費したら最悪だからね。ただ、反省は必要かな。次回の意思決定のときのために。

 

わかった!

じゃあ、今回はここまで。機会費用はCFはないけど、意思決定に際しては考慮しないといけない。逆に、埋没原価はCFがあるけど、意思決定に際しては無視していい。

 

「これから」に関係することだけだよね。よくわかった。

とりあえず、ファイナンスの話はこれくらいにして、次回から別の話をしよう。

 

はーい。

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