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第198回 投資に伴う機会費用はCFがなくても考慮すべき

第198回は、投資案件のCF見積りの関係で、機会費用の考え方を議論します。実際の計算方法というよりは、どのように増分CFを見積もるか、という頭の体操のような話です。

お父さん:公認会計士。実際は、このイラストよりも、だいぶおじさん(本物はこちら)。

こども君:小学6年生。体育と休み時間を過ごすために小学校に通い、阪神タイガースをこよなく愛する普通の男の子。好奇心が強く、数字を扱うのは得意。ただ、ペラペラ喋って、人の話を黙って聞くのは苦手。スポーツ大好き、RPG大好き、三国志やキングダムも大好き。

投資案件の話に戻るけど、今回もCFの見積りの話。前回は、家を買うかどうかの判断をしたけどね。じゃあ、今、会社が設備投資するかどうか考えてる。仮に工場を建てるとしよう。

 

うん、いいよ。

でも、この会社はもう土地を持ってる。工場用地だね。だから、追加で必要なのは工場の建屋と設備だけ。この場合、IRRやNPVを計算するときの投資額って、どう考える?

 

土地をもう持ってるんでしょ? うーん。

今考えているのは、損得の話だよ。設備投資をして、工場を建てたほうがいいのかどうか。それをIRRとかNPVで判断する。その計算のときに、初期投資額って必要だよね。それはわかるかな?

 

わかるよ。建物を建てないといけないし。

建物と設備はいいよね。会社は持っていないから、投資にあたってその分のキャッシュ・アウトフローが生じる。じゃあ、土地は?

 

もう持ってるから、キャッシュ・アウトフローはない。

じゃあ、初期投資額には含めない?

 

えー? 含めないんじゃないの?

逆に、それで損得が判断できる?

 

ああ、じゃあ、土地を入れたほうがいいのか。

ちょっと難しいかな。じゃあ、土地を持っているけど、やっぱり工場を建てないことにする。もう工場用地は要らない。土地はどうする?

 

売るよね?

売るとどうなる?

 

お金に変わる。

そうだよね。土地の売却収入という形でキャッシュ・インフローがあるよね。このキャッシュ・インフローって、工場を建てるときって、どうなってる?

 

土地を売らないから、そんなものはない。

そうだね。選択肢は2つある。1つの選択肢は、設備投資をして、土地を使う。この場合、工場で製品を作って、それを売って、営業CFみたいな形でCFを得る。でも、(工場用地として使っている間は)土地の売却収入はない。もう1つの選択肢は、設備投資をせずに、土地を売却する。この場合、土地の売却収入という形でCFを得る。これはいい?

 

それは大丈夫。

じゃあ、土地を持っていない場合はどうなるか。この場合も選択肢は2つ。1つは土地を買って、工場を建てる。この場合、土地の取得支出のような形でキャッシュ・アウトフローがある。もう1つは設備投資をしない。だから、土地を買わない。この場合、キャッシュ・アウトフローはゼロ。これもいい?

 

うん!

じゃあ、もともと土地を持っている場合でも、持っていない場合でも、ある意味同じだよね。工場を建てるときは、建てないときと比べて、土地の分だけ持っているキャッシュが小さくなる。つまり、入出金差という意味で、ネットのキャッシュ・アウトフローが発生してる。

 

工場を建てると決めたとすると、土地を持っていないケースでは、土地を買う分だけキャッシュが小さくなる。これは簡単。じゃあ、もともと土地を持っているケースでは、売却収入の分だけキャッシュが小さくなるってこと?

そうだよ。あくまでも相対的にね。注目すべきは、「工場を建てるかどうか」によって変化するCF。つまり、「比較」という観点が大事。意思決定によって、CFが変わってくるんだったら、それを考慮しないと判断を間違えるよね。「工場を建てる」と意思決定したら、その土地の価格の分だけ、相対的にキャッシュが減るわけだから。

 

うん。

だから、土地の時価を初期投資額に含めて考えるといいだろうね。つまり、キャッシュ・アウトフローはないけど、あたかも投資したように考えるってこと。投資しなければ、売却収入が得られるわけで、それをあきらめてるからね。

 

ああ、そういうことか。「キャッシュが減ったんじゃなくって、入ってくるはずのキャッシュが入ってこなくなった」ってことだね。

そう、そう。逆にプロジェクト終了時には、土地の売却収入を想定しないといけないけどね。まあ、頭の体操みたいなもので、あくまでも理論的に、というイメージだけど。

 

本当は別の考え方があるってこと?

うん。土地の時価を初期投資額には含めず、代わりに、その土地を別の方法に使って得られるキャッシュ・インフローをコストと考えるほうが現実的だと思う。例えば、土地のまま貸したときの地代だね。結局のところ、工場を建てるということは、売却収入か地代のどちらかをあきらめてるってこと。

 

ああ、土地は売っても、貸してもいいもんね。

うん。結局、「工場を建てる」という意思決定の際に、何をあきらめてるかという話だね。あきらめた選択肢から得られるCFは、ある意味でコストになるってこと。ちなみに、こんな感じで、土地を別の用途に使ったときに得られる利益って、何て呼ぶか知ってる? 実際にはかかってないコストだけど、コストとして考えるべきもの。

 

前にもこういう話はしたな。何だっけ?

機会費用かな?

 

そう、それ!

こういう投資案件の意思決定をするときは、実際のCFだけを見てても足りない。複数の選択肢を考えて、「これに決めよう」という選択肢以外から得られる利益の最大額を考えないといけない。

 

うん! よくわかる。

まあ、今日の話は単なる頭の体操みたいなものだから、あんまり真剣に考えなくていい。今回はここまで。

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