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お父さんの独り言③ 内部留保にまつわる様々な誤解

前回は内部留保のお話をしましたが、この内部留保には色々と誤解があります。もう言い古されてますけど、ちょっとだけ話しておきたいと思います。

 

内部留保にまつわる誤解

典型的なのは、「この企業は内部留保があるから、資金的に余裕があるはず」という誤解です。

まず、内部留保というのは、概念として、企業が計上した利益のうち配当しないものです。あるいは、そういった利益が蓄積された結果(利益剰余金)と考えてもいいかもしれません。

つまり、貸借対照表でいえば、あくまでも右側の話です。

これに対して、資金があるかどうかは、貸借対照表の左側の話です。

なので、内部留保と資金残高はそもそも別物です。

 

過去に利益を計上していたら、いま資金を保有している?

そして、このブログでもよく議論していますが、利益とキャッシュ・フローも別物です。

また、仮に利益がキャッシュ・フローを伴っていたとしても、会社はそのキャッシュをキャッシュのまま持っておくべきではなく、それを投資すべきです。そうすると、キャッシュ・フローを伴う利益が内部留保されたとき、その時点では見合いのキャッシュがあったとしても、それはすぐに投資されて実物資産に形を変えます。

つまり、過去に利益を計上しているからといって、現時点で資金を保有しているとは限らず、内部留保というのは、資金を手許に置いておくこととは全く別の議論だということです。

まとめると、「内部留保=資金的な余裕」という発想は間違いと言ってもいいと思います。

 

もう1つの誤解

もう1つ、「過度に内部留保している企業は、その内部留保を吐き出すべきだ」という議論もあります。一方で、上記の理解を踏まえて、「内部留保には必ずしも資金的な裏付けはないから、吐き出すという発想がおかしい」という反論も見ることがあります。

なぜみんながこんなに内部留保が好きなのかはわかりませんが、判断基準はシンプルです。

「企業にいい投資案件があるなら、内部留保は許容されるし、そうでなければ、配当などで株主に資金を返還すべき」ということです。

いい投資案件がないなら、内部留保なんかすべきじゃないです。株主に資金を返還したほうが、株主が好きなところに投資できるので、よほど効率的です。

そのときに、「内部留保には資金的な裏付けがないから」と言われたら、「じゃあ、資産売却して資金化したら?」というのが基本的な答えです。実際にはそんなに簡単な話ではないですけど(笑)。

また、「いい投資案件がないなら、何で実物資産の形にしてしまったの?」という問いかけもできます。「資金のままにしておいて、株主に配当してしまえばよかったのに」ということですね。

 

従業員への分配が少ないから、内部留保が多いのか

その他、「内部留保が多すぎるということは、従業員への分配が少ないということだ」という議論もありますが、これは算式としては、そうなりますね。

内部留保は前提にしていないですが、イメージとしては、以下の記事が参考になるかもしれません。

第21回 株主がもらう「配当」って、「余り」なんだね

ただ、実際には、少なくとも短期的には、給与水準は労働市場のほうで決まりそうです。利益水準(及び配当水準)を先に決めて、その後で従業員の給与水準を決めている企業がもしあれば、この議論は当てはまるのかもしれません。

まあ、不況とかになると、誰かに批判の矛先が向くだけで、それが内部留保の大きい企業だと考えれば、「内部留保とは?」という本質は大事でもないように思います。

 

こども君に知っておいてほしいこと

こども君に知っておいてほしいことは、内部留保の正しい概念までです。「内部留保すべきかどうか」という規範的な議論は、こども君の個人的な信条に任せます。

ただ、「配当か内部留保か」という理論的な判断基準の軸は持ってもらえるといいなと思います。

 

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