公認会計士・税理士が独立することの3つのメリット

週末なので、雑談です。
目次
「身の上話」シリーズ
ここ数か月、ちょっとずつ身の上話を書いてきました。
流れとしては、以下のような感じです(それぞれの記事へのリンクです)。
こういうテーマの記事は、よく読まれているんですが、どういう方々が読んでおられるんでしょうか。
ちなみに、同業者の皆さんから頂いた反応は以下のような感じです。
おおむね好評と言っていいと思います。
今回は「独立すること」のメリット
ということで、今日は最後、独立することのメリットを書いて、このシリーズも終わりにしたいと思います。
結論からいうと、私が考える独立のメリットは以下の3つです。
(2) やりたくない仕事は断れる
(3) プライベートとのバランスをうまく保てる
以下、順番に書いていきます。
(1) 効率的に仕事ができる
独立することの最大のメリットは、仕事を効率化できることだと思います。
その背景には、「時間を自由に使える」ことがあります。もちろん完全に自由ではないですが、監査法人や税理士法人に勤務しているときと比べると、格段に自由度が高いです。
個人的にこの要素が重要なのは、自分の裁量で、知識のインプットに充てる時間を確保できるからです。
会計や税務の分野は、深く考えるような問題はそれほどなく、単純に「答えを知っているか、知らないか」だけの問題が多いのではないでしょうか。
そのため、私のような仕事の内容だと、可処分時間の一定割合は自己研鑽に充てるのが効率的です。つまり、先に知識をインプットしておいて、それを実務で使っていくイメージです。
独立すれば、こういう戦略はある程度可能です。
一方、監査法人や税理士法人に勤務していたときは、日常(というか、ペーパー・ワーク)に忙殺されて、知識のインプットが遅れることが少なからずありました。実務で問題に直面してから焦って考えるということで、泥縄的な感じですね。
やり方は人それぞれだと思いますが、独立すると、時間の使い方の自由度が増して、仕事の効率を上げられると思います(紆余曲折を経て)。
(2) やりたくない仕事は断れる
もう1つ、独立の大きなメリットは、やりたくない仕事を断れることです。
「ポリシーに反する仕事はしなくていい」というのは、精神衛生上、この上なく好ましいことだと思います。
また、仕事内容だけではなく、「クライアントのカラーと合う、合わない」という要素も重要な気がします。
法人勤務の場合でも同じですが、みんな人間なので、「このクライアントには行きたいけど、このクライアントには行きたくない」というのがあるんじゃないでしょうか。
どこの法人にも「あからさまに特定のクライアントにだけ行きたがるパートナー」はいると思いますが、自分に正直に生きようとすると、そうなるということなんでしょう(普通は「正常なバランス感覚」がそれを妨げてしまいますが)。
もちろん、仕事を断るということは、経済面での犠牲を伴います。でも、それを差し引いても、「やりたくない仕事をやらなくていい」っていのは本当に最高ですよ。それだけで毎日が明るくなります。
(3) プライベートとのバランスをうまく保てる
最後に、独立すると、自分で様々な事柄の優先順位を付けやすくなります。そのため、仕事の時間とプライベートの時間のバランスも保ちやすくなると思います。
最も大きな要因は、上司がいないということでしょうか。
独立して感じるのは、「いい上司(以下「A」)がいないことは、自分の成長にとってマイナスだ」ということです。私の場合、それだけ、いい上司に恵まれてきたんだと思います。でも、それ以上に感じるのは、「Aを除く上司がいなくて最高だ」ということです(危ないことを言いそうなので、表現を工夫)。
仕事の期限の約束は、基本的に外(クライアントであったり、出版社の方々であったり)との間です。逆にいうと、それさえちゃんと守っていれば、あとは自分で時間のやりくりができます。
つまり、仕事とプライベートを合わせた選択肢のなかから、優先順位を付けられるということで、例えば「今日は仕事を早めに切り上げて、子供といっぱい遊ぼう!」というのもアリです。
私の場合、仕事の時間単価は決まっているので、すべてを金銭的に評価できます。そのため、優先順位を付けるのも容易です。例えば、「この仕事をやらずに、子供と遊ぶ時間に充てたんだから、思いっきり遊ぶぞ!」みたいなポジティブさは、独立して初めて得られた気がします。
そういう気分転換が、また仕事をするときの集中力の向上につながるんですよね。
最後に
こうやって書いてくると、独立するといいことばかりのようですが、実際にはそうじゃないときもあります。
特に独立当初は、本当に不安だと思います。私も何度か眠れない夜を過ごしました(遅めの時間に昼寝をしてしまった日など)。
私の場合、当初はとにかくマーケティングに力を入れましたが、それでうまく軌道に乗ったとは言い難いです。むしろ、周りに助けてもらったことのほうが要因としては大きいような。
なので、何もアドバイスはできないのですが、私が独立するときに先輩からもらったアドバイスとして、「いい人脈はいいほうに広がっていき、悪い人脈は悪いほうに広がっていく」というものがあります。これは本当にそうだなと実感していて、振り返っても、素晴らしいアドバイスだったなと思います。
なお、周りを見ていると、収入の面は多分増える人が多いんじゃないでしょうか。ただ、それを経済的なメリットと言えるかどうかはわかりません。いつ仕事が無くなるかわからないという意味で、法人勤務よりもハイリスクなので、ハイリターンであってしかるべきだからです。
特に、今みたいなご時世では、法人勤務の安定性のメリットも大きいと思います。独立に最適なタイミングを見極めるのも難しいですね。
ということで、この記事については、「独立すると、いいこともいっぱいありますよ」という趣旨で捉えて頂ければと思います。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。