税理士が大手税理士法人を退職した「ありがちな」理由

今日も週末なので、雑談です。
目次
「身の上話」シリーズ
「身の上話」シリーズ(?)として、以下のような記事を書いてきました(途中まではそんなつもりはなかった)。
公認会計士が大手監査法人に就職することの3つのメリット
公認会計士が監査法人を退職したシンプルな理由
公認会計士が監査法人から税理士法人に転職することの3つのメリット
今日はその流れで、私(=公認会計士・税理士)が「なぜ税理士法人を退職したか」というテーマです。
直接この記事に来られた方のために、私のプロフィールはこちらです。
退職理由はシンプル
が、書くほどのこともなくて、税理士法人を辞めた理由は極めてシンプルです。
体力がもたなかった。これに尽きます。そういう人、他にもいるんじゃないでしょうか。
さらに究極的なところでいうと、「もう少し生きたかった」。これです。
仕事はめちゃくちゃ面白かったので、もし自分の体力が持つのなら(=もし私がありえないくらい強い生命力をもった生命体であったなら)、税理士法人を辞めることはなかったと思います。
妻から頼まれたのが契機
もう少し具体的に、退職を決意したきっかけは、妻から、そうお願いされたことです。
基本的に自由にさせてもらっているので、そういうお願いをされたのは、後にも先にもこの1回だけです(普段は「お願い」ではなく「指示」や「命令」を受けている説)。
ちょっと回想シーンに入りますが、ある日、仕事が終わらなくて、(翌)朝に家に帰ったことがありました。
それ自体は珍しいことではないのですが、その日はかなり疲れていて、自分の部屋のベッドまでたどり着けず、玄関マットの上で寝てしまっていました。
玄関マットの上に横たわる「いまや物体と化したもの」を見た妻が「誤解」して(そりゃそうだよな)、肩を揺さぶられるようにして起こされたのですが、その日、「もう辞めてほしい」と頼まれました。
超人たちが生きる世界であることを再認識
ただ、税理士法人に対しては、上司からも同僚からも、色々なことを(ほぼゼロから)教えてもらったという恩がありました。また、仕事自体もとにかく充実していたので、なかなか踏ん切りがつかなかった面があります。
そんな状態で、ずっと「どうしたらいいのかな」と考え続けていたのですが、もう1つ、印象的な出来事がありました。
別の日の朝6時くらいにオフィスにいたときのことですが、そこで、「お先に失礼します!」と大きな声で元気に帰っていくシニアの方をぼやっと眺めていたときに、「やっぱり自分にはもう無理かな」と漠然と考えた記憶があります。
いや、百歩譲って、朝方に帰宅するのはいいけど、もうちょっとしんどそうにしてほしい。シャワーを浴びて戻ってくるだけなのに、そんな元気な挨拶が必要か?
そこで再認識しました。やっぱりここにいることが許されるのは、真の意味での「超人」だけなんだと。
誤解のないように
私がもともと税務の世界にいたら、たぶんそこまでじゃなかったんだと思うのですが、もともとは会計の世界にいたので、とにかく仕事を覚えるのが大変で、そういうのが蓄積してきていて、体力的に限界だった面もあると思います。
ただ、1つはっきりさせておきたいのは、今はもうそういう労働環境ではない(みたい)ということです。
また、当時もみんながみんな、そういう労働環境だったわけでもなかったと思います。
税理士法人は、監査法人に比べると相対的に組織が小さいので、仕事が属人化しやすい傾向があります。私の例で言えば、海外関係の仕事が入ると、どうしても仕事が積み重なっていくイメージがありました。
ちょうど退職の直前に本格的に体を壊したので、これもタイミングというか、巡り合わせと考えたほうがいいのかもしれませんね。
税理士法人は楽しかった
もう1つ、「私にとって、税理士法人は本当にいい職場だった」ということも明確にしておきたいと思います。
また、退職後も長い間、非常勤でお仕事をさせてもらって、本当に良くして頂きました。
雰囲気もすごく良くて、仕事も楽しくて、今でも、戻れるなら戻りたいなあと思うことが…
やっぱりないかな(笑) そもそも受け入れてもらえないですけど。
でも、「税理士法人に行きたい」という人がいたら、「いいところですよ」とは言うと思います。
実際には、どの税理士法人かをちゃんと聞きますけど(笑)
余計なことを言いそうなので、そろそろ終わりにします。
なお、「監査法人を退職した理由」を書いたときは暗い気持ちになりましたが、「税理士法人を退職した理由」を書くと、妙に明るい気持ちになりました。不思議なものですね。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。