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移転価格税制の基礎

第30回 ローカルファイルの記載事項と記載例:選定した独立企業間価格の算定方法及び選定理由(後編)

前回は、ローカルファイルにおいて、選定した独立企業間価格の算定方法及び選定理由をどう書くかを確認しました。

で、取引単位営業利益法を例に使って、最後は例示集(国税庁 「独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)作成に当たっての例示集」)の記載例を確認したのですが、今回はもう1つ、作成サンプル(国税庁 「同時文書化対応ガイド ~ローカルファイルの作成サンプル~」)の記載例を確認します。

 

ローカルファイルの記載例(作成サンプル)

作成サンプルでは表形式になっているのですが、今回は項目ごとに分解して引用します(A社というのが国外関連者です)。

選定された独立企業間価格の算定方法

7 独立企業間価格の算定方法等
⑴ 独立企業間価格の算定方法
1 選定された独立企業間価格の算定方法

取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法
・検証対象:A社の製造販売取引に係る損益(A社のB社への販売損益を除きます。A社のB社への販売取引については別途検証しており、独立企業間価格で取引を行ったことを確認しています。詳細は次の8を参照してください。)
・検証する利益指標:売上高営業利益率

独立企業間価格の算定方法はTNMMで、検証する利益指標は売上高営業利益率です。

選定された独立企業間価格の算定方法が最も適切である理由

2 1が最も適切である理由等
 金型、機械設備及び原材料の輸出取引、無形資産を使用させる取引、役務提供取引の各国外関連取引は、A社の製品Xの製造販売事業に当たり一体として行われていますので、独立企業間価格についても、一の取引として算定することが合理的であると判断しました。
 独立企業間価格の算定方法を検討したところ、独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法については、A社がA国内で第三者と同様の取引を行っておらず、また、公開データからも租税特別措置法に規定する比較可能な取引を把握できなったため、適用していません。
 利益分割法については、比較対象取引に係る所得の配分に関する割合及び対象となる国外関連取引に係る所得の発生に寄与した程度を推測するに足りる適切な要因について把握できなかったため、並びにこれらの各国外関連取引が、グローバルトレーディングや共同事業体における活動のように高度に統合されたものではなく、国外関連者の当事者のいずれか一方を検証対象とする算定方法よりも利益分割法の方が適合すると考えられる取引形態に該当しないため、適用していません。したがって、1の方法が最も適切であると判断しています。
 検証対象をA社とすることについては、A社は国外関連取引について製造販売機能を有していますが、当社が国外関連取引について果たす機能より単純であり、また、所得の源泉となる無形資産も保有していないため、比較対象取引を抽出することが容易であると考えられますので、A社としています。
 なお、取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法を合理的な方法と判断した理由については、比較対象取引が複数あり、それら複数の取引に係る利益率の幅を用いて独立企業間価格を算定することが適切であると考えられたためです。

ここでは、まず、取引単位について触れています。様々な取引が一体として行われているので、独立企業間価格についても、一の取引として算定することが合理的という話です(取引単位に関する記事はこちら)。

そして、独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法について、比較対象取引がなく、適用できない旨を記載しています。これは定型文に近いです。

その後、利益分割法の方が適合すると考えられる取引形態に該当しないため、取引単位営業利益法が最も適切という判断を示しています。

また、国外関連者(A社)を検証対象にする旨の記載がありますが、これは国外関連者のほうが果たす機能が単純で、無形資産も保有しないためと説明されています。

選定された独立企業間価格の算定方法を国外関連取引に適用した算定結果

3 選定された独立企業間価格の算定方法を当該国外関連取引に適用した算定結果
 取引単位営業利益法に準ずる方法と同等の方法に基づいて算出した比較対象取引に係る売上高営業利益率は○%~○%の範囲(フルレンジ)となり、その平均値は○%となります。A社の製造販売取引に係る2017年12月期の営業利益率○%はその範囲内にありますので、各国外関連取引は独立企業間価格で行われたと考えます。なお、検証対象取引が○であるのに対し、比較対象取引は○であるという差異が売上高営業利益率に重大な影響を及ぼすと認められることから、差異調整を行っています。

添付資料25 検証対象損益(B社への販売損益を除くA社の損益)(添付資料14①参照)
添付資料26 検証結果
添付資料27 差異調整関連資料(差異調整の対象、差異の内容、その差異が売上高営業利益率に影響を及ぼすことが客観的に明らかであると判断する理由、具体的な差異の調整方法、使用した財務データを明示)

「フルレンジ」ということで、複数の比較対象取引の全体(100%)を見ており、そこに国外関連者の売上高営業利益率が入っていることを確認しています(ちなみに、独立企業間価格の幅に関する記事はこちら)。

また、差異調整を行っている旨の記載もあります。

その他

4 その他の項目
選定した算定方法を適用するに当たって、重要な前提条件となるような事業上または経済上の条件はありません。

これで、長かった取引単位営業利益法のシリーズもこれでいったん終了です。

次回は、ここまでの「取引単位営業利益法」シリーズの記事をまとめて、終わりにしたいと思います。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

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